ヘニング・シュミットさん(p)と。@自由学園明日館講堂

今日は木下ときわさんと、自由学園明日館講堂にて。

ドイツ人ピアニストのヘニング・シュミット(Henning Schmiedt)さんの
日本ツアーで、東京公演に対バンとしての出演でした。

この日の演奏場所は
池袋の重要文化財「明日館」の講堂。
昭和2年に、「音の良さ」まで考えて
建てられた建物は貴重だ。
たしかによく響く。

彼のCDは前にいただいていて、
ソロピアノで独自の音感覚を持ったピアノ。
それに録音がとてもうまくいっていて、
ヘニングさん、録音、心地よかったんだろうな〜、
っていう波動がそのままCDになっている。

楽屋でその録音のことを
いろいろ質問して分かったんだが、
彼の故郷東ドイツ、東ベルリン、
古くていい感じのスタジオがいっぱいあるそうだ。
大きな川に面したガラス張りの円形テラス状のスタジオだったり、
そういう場所で音を出すのがとにかく心地いいんだと。

録音しに来いよ、と言ってくれたので
本気にしていつか行こうと思う。

・・・・・・

僕たちの演奏が始まって、
会場は水をうったように静かだし、
お客さんはカタい表情だし、
こりゃクラシックのコンサートでも始まるのかね、
という雰囲気。
雰囲気にのまれ、最初てこずったが、
しだいにその空気になじんで、
最後の方の曲「愛の讃歌」などは
歌もギターもとても良かった。

一方のヘニングさんは、
1曲目が終わってまず、
これはクラシックのコンサートじゃないから、
もっとラクにリラックスして聞いてね、
みたいなことを笑いながらお客さんに話す。

おそらく彼は繊細でシャイな方なんだが、
心を開いて人と接する、
ってことを意識的に心得ている。

僕たちは緊張するお客さんと
正面から勝負して、
お客さんとの緊張関係を高めた。

緊張をとけば、リラックスして聞いて演奏して、
ができるから、
彼みたいに何か言えば良かったなー、とも思ったが、
まあでも、どっちもいいじゃないですか。
ある程度の緊張関係ってのは、
初恋の告白のようにスリルがあって
危険だがその分面白い。

ということで演奏は好評のうちに終了。
はるばる、つくばから来てくれたたくさんのお客さんも、
喜んで帰っていかれたそうで、よかったよかった。
ヘニングさんとも終演後ちょっと話。
もうしばらく「こわい日本人」でいてやろうと、
緊張させてやろうと思ってたんだが、
なんだかいい感じで友達になりました。